柄合わせ 当たり前ですが、普通に作ると柄を合わせるわけです。 今どきの市販されているのはびっくりするくらい、柄があってない物や椅子が多いです。 写真は今回作らさせていただきました、クッションです。 座面のマチはもちろん、表も裏も合わせました。(表裏がある場合には表側を一律に、そして裏側も一律にする場合もあります。今回は生地のリピート計算がうまくいったので全て合わせることが出来ました。) もちろん、背のクッションの5枚合ってます。 かなり時間をかけて裁断、縫製してます。 柄を合わせると生地が無駄になるかと思いますが、時間をかけてきちんと裁断すればそんなに無駄にもならずに出来るものです。 クッションマチ 座面の表 座面の裏 背クッション カタログ記載の生地巾や生地のリピートは当てにならないことが多く、実際の生地を見て、生地巾とリピートを出し、生地は曲がって切ってあったり、耳部分がつれて曲がってたりしますので、それを修正し、柄を追って裁断し、柄を生かして縫製します。 見えないところに手間隙がかかってます。 一般の人にはなかなかわからない柄あわせですが、こういうことを納めた時になどにわかってくれる人がいるとうれしいものです。 ... 続きを読む
椅子の裏話
椅子を台にしないで
日本だと、靴を脱いで生活を習慣のせいか、椅子に乗って、上って高いところの物をとったりしてしまうことがあるのではないでしょうか。 実は椅子(ソファ)は人が上っても大丈夫ではないんです。 構造状、お尻のように広い面積で、座る荷重には充分耐えられますが、足の裏のように小さな面積で全体重を乗せてしまうといつか問題が生じます。 欧米では、靴は脱がないので椅子に上ることはあまりないのではないかと思います。きっと日本の畳を靴で上がられた時の日本人が感じる違和感と、海外の人にとって、椅子に上るということが同じ感じなのではないかなぁと感じます。 危ないですから、専用の脚立をお使いください ... 続きを読む
乾燥 伸縮
今年は乾燥がすごいようです。 この乾燥、家具、椅子には厳しい環境です。 日本は特に湿気が多い時期があったり、エアコンを使ったりと椅子や家具にはハードな環境なのですが、特にこの冬の東京は雨が降らなかったりということで、乾燥しているようです。 そのせいか、木の水分が奪われてしまい、伸縮されて、接合部が割れてしまうケースをここのところ多く目にします。 ホゾがきちんと入っている椅子の場合ですと、割れてしまっているように見えてもぐらつきもないので、湿気が増えてくればゆっくりとふさがっていくでしょう。 木は呼吸してますから。 日本のお膳には、溝が切ってありますよね。 あれって、四季の環境の変化で木が動くことを計算して天板がある程度伸びたり縮んだり出来るように作られているのですよね。塗装で塗りかためたりせずに。日本人の知恵ってすごいです。 ... 続きを読む
椅子張りの基本
椅子張りの基本といえば、いかに布目を曲げないかです。 とにかく、布目を曲げずに張る、それが椅子張りです。 前回の記事で、底張りの話をさせていただきました。 底張りは通気性の関係で非常に薄い生地を張ります。 この底張り、実は見習いが行うことが多いのです。 最後の仕上げを見習いが行って修行するわけです。 布目、簡単なように思うかもしれません。 ですが、はじめてだとなかなか難しいようです。 布目が曲がっていることが見えないようなのです。 張ったはいいが、布目が曲がりまくってしまっていたり。 さらに底張り布。 これが薄いことがさらに難しくさせます。 底張りが綺麗に布目を曲げずに張ることができてから、椅子張り修行のスタートになるのかもしれませんね。 と、今日は生意気なことを書いてしまいました。 ... 続きを読む
底張り
椅子には底張りという椅子張りでは最後の仕上げとなる作業があります。 椅子の裏に薄い布を張って完成させることが多いのです。 底張りをする理由には、布を張った釘を隠すという理由、そして薄い布を張るのは、通気が良いようにという理由などがあると思います。 椅子を見るときにプロは底張りをみます。 底張りがどのくらい綺麗に張られているかどうかを確認するためです。 底張りが綺麗に張られ、釘も均一に打たれ、誰がみても綺麗なものは、椅子の中もきちんと作られていると判断出来ます。 そこで今回、新作のスツールを製作したのですが、その一つのこだわりとして底張りにあります。 写真はその新作スツールの底張りです。釘を出さない納まりにしました。手間はかかります。この底張り布も実は高価です。 底張りのこだわりは、私の好きなメーカー、イタリアのチェコっティにも見られます。ここの職人達の考え方は納得のいくもので、同じように底張りにこだわってます。「見えないんだからいいんじゃない」という考えはないんですよね。椅子の納まりにこだわってるのです。北欧のメーカーにも椅子の納まりにまで神経を使っている椅子がありますよね。 誰がみても綺麗なものは綺麗なのではないかなと考えてます。 ... 続きを読む
トリム
写真、うちではトリムと呼んでます。 椅子の仕上げに使います。ヘリと言ったり、ブレードと呼ばれたりしてます。 これだけの色数はなかなかないようですね。 使用する布地と同色を使ったり、一色を抜いて使ったりと様々に、お好みに合わせて使います。 フランスから直輸入している椅子専用です。 椅子の仕上げでは、鋲仕上げ、2本玉仕上げ、そしてこのトリム仕上げが代表的です。 ... 続きを読む
布地の持ち込み
布地の持ち込み、原則として当社では特別な場合を除いて持ち込みはお受けしておりません。特別な事情や理由があれば別ですが。(持ち込み手数料をいただいてお受けする場合もございます) 椅子の場合、なぜだかお持込みをしたくなるお客さまが多い気がするのは私だけでしょうか?持ち込みが可能なところも多いのかもしれません。 ただ、伺いたいと常々考えてたのは、たとえば食事をするところに食材をお持込みになるのでしょうか。レストランに食材をもっていきますでしょうか。ファミレスにひき肉をもっていき、ハンバーグをお願いしますでしょうか。ラーメン屋に麺をもっていきますでしょうか。寿司屋に魚を。居酒屋、BARにお酒を 大工さんに木材を、家具屋に木を塗装屋に塗料を椅子屋に材料をと、みな同じではないですが、同じような持ち込みのケースの場合、みなさんはどうお考えなのでしょうか?知りたいところです。 ... 続きを読む
トリム
椅子の仕上げには布地によってはトリムが使われます。トリムはブレードと呼ばれたり、ヘリと呼ばれたり、ギムと呼ばれたりしてますが、当社ではトリムです。 さて、このトリムですが、日本で手に入るのは洋服に使ったりするものが多く、そういったのを使用している椅子も多いです。 写真のトリムはフランスから輸入してます。椅子用のトリムです。色もたくさんあります。 猫足のような椅子=クラシックスタイルの椅子は少し特殊な作業が多く、ある決まりもあったりします。写真の部分では、トリムをトメにします。これってもしかしたら特殊かもしれませんね。 ... 続きを読む
ホースヘアー
ホースヘアー、馬毛の写真です。 よりをかけてロープ状にして熱処理されます。 パーマをかけてあげるわけです。 それをほぐして、椅子のクッション材として使います。 今年6月イギリスでイギリスの椅子張りを勉強してきました。ホースヘアをいつも触っていました。研修を終え、ロンドンへ行きましたところ、 ホースヘアヘアーの方を偶然発見してしまい、思わず触ってみたい衝動にかられました。それをぐっとこらえ、宮本君が写真を撮ってくれました。 その写真は宮本君がもってます。 良い週末を!(^^) ... 続きを読む
ヤシファイバーと馬毛
ヤシファイバーと馬毛の写真です。 黒いロープ状のものが馬毛で、下のグリーンの方がヤシファイバーです。ヤシファイバーも馬毛のようにロープ状になったものを写真のようにほぐします。 馬毛も使用するときにはほぐします。 ヤシファイバーはヤシの葉の繊維です。非常に油っけが多く、あやまって踏もうものなら、バナナの皮より数倍以上にすべります。それをロープ状にして熱処理されることによって、人間の髪の毛同様にパーマをかけた状態にします。それをほぐして、椅子のクッション材、詰め物としてロココ時代からソク土手という伝統的な技法を用いて椅子に張られます。 ヤシファイバーに似た材料としては、ヤシの実を使ったパームというのがあります。パームはどちらかというと、ぼそぼそとした感じで茶色です。中には茶色のパームを黒く塗装したものもあります。これは馬毛に似せるために黒く塗装されたのではないかと推測されます。 ... 続きを読む