牛革 椅子張り 革を使うことが多いのですが、革と合皮の違いについて椅子張り職人の目から考えてみます。 合皮やビニールレザーの場合、同じ品質で均一にほぼ出来上がっているので布と同じように生地巾があり、裁断が容易に出来ます。 一方、牛革の場合、日本では半革で、さらに大きさもまちまちです。 牛の革なので、牛の育った環境によって表面にたくさんの傷があります。まずはその傷を見つけ出し、傷を出来るだけ避けたり、目立ちにくいところに持っていくように裁断をします。非常に手間がかかる作業が革の場合にはかかります。 革自体、安いものではないため、失敗・ミスは許されないので慣れないと大変です。 また、革の部位も強度的に強いところと弱いところがありますので、座面には強い部分をとらないとすぐにダメになってしまいます。 ミシンをたくさんかけ、ステッチされた革の椅子と1枚革で張られた椅子とでは1枚革の椅子の方が贅沢であると作る側からは思うのです。 写真は傷に印をつけ、その部分を避けて裁断した革です。 ... 続きを読む
椅子の裏話
反り針 曲げ針 椅子張りの道具
反り針 曲げ針 椅子張りの道具 機会があって、他の方が使用している色々な曲げ針を使いました。 反り針、曲げ針とは、曲がった形をした針で、椅子張りで特に伝統的、古典の椅子張り製法では良く使います。手縫いで仕上げる場合には私にとっては必須の道具です。 曲げ針は真っ直ぐの針を自分で曲げて作ります。 反り針はもともと曲がった形状の針で、フランスから輸入してます。 道具は使い込んだものが使いやすいですね。 写真は小さい反り針が、口縫いや背裏などの手縫いでよく使用してます。大きい反り針はセル糸を使う作業で良く使うサイズです。糸を通す穴が大きいのも使いやすいですね。 東京椅子張同業者組合連合会、技能士、組合の方にはお分けしてますが一般での販売は見合わせおりますことご了承ください。 ... 続きを読む
ミシン糸 ボビン
ミシン糸 ボビン ミシン糸の色は写真の通りたくさんあります。 使う布地によって使いわけます。 ナイロンの糸であれば透明で、糸を使い分けることなく楽なのですが、丈夫さや耐久性、使える年数を考えると昔ながらの糸を布の色によって使い分けてます。 ステッチをかけないときでも、糸が表に出ない仕様でも、わざわざ糸をかけかえるのでそれだけでもひと手間かかります。 椅子張りでは唯一の機械がミシンです。 ミシンの使い方次第では色々なものが作れてしまいます。 最近の椅子ではミシンを極めることが重要です。 今思うと、椅子張りは本当に色々な作業がありますね。ミシンであったり、釘打ったり、型とったり、、、、。 ... 続きを読む
両ステッチ
両ステッチ 椅子のクッションにミシン加工を施す際に鏡とマチとにステッチを入れることがあります。カガミとマチとに両方に入れるのを両ステッチと呼んでいます。この両ステッチを入れるのに2本針のミシンがあります。うちにもこの2本針のミシンがあるのですが、2本針はキルティングで両ステッチを入れるのには便利ですが、実際にクッションに両ステッチを入れるときは1本の普通のミシンの方を私は使います。それの方が早くて綺麗なのです。 その両ステッチですが、実は裏に布を当てているのです。この当て布があることで強度が高くなっているのです。 これは当たり前のことなのですが、、、。 ですが、日本にある椅子でこのように当て布をしてある椅子が少なくなっているのも事実ですね。 ... 続きを読む
椅子張りの本が出版されます
椅子張りの本が出版されます... 続きを読む
張り替え出来ない椅子
張り替え出来ない椅子 本日、ご友人の椅子を張り替えていただくためにお持ちいただいた椅子があるのですが、椅子の張り替えを前提作られていないのです。 最近このような椅子が多いので、お買い求めの際にはお気をつけください。職人が作ったものでしたら修理が出来るのですが。 当社では10年未満の椅子は張り替え修理をご容赦いただいております。その理由といたしまして、張り替えを出来るように作られていないことが多いのです。職人がきちんと作っていれば、10年は問題なく使用できるはずなのです。10年未満でなにか問題がおきてしまうというのは職人が作っていない商品と考えられます。 ですから、昔から、たとえば20年前後使用されていて、木枠が丈夫な椅子でしたら、張り替えをしたほうがお買い得になる可能性が高いのです。確かに安い椅子はたくさん売ってますが、その椅子は長く使えるでしょうか? ただ、椅子の張り替えはそんなに安く出来ないことも知っておいていただけれたらと思います。なぜなら、その作った椅子のメーカーであれば、椅子の型紙があるので容易なわけですが、我々一職人は張ってある布地を一から平面に型を起こし直す必要がある場合があります。 ミシン、縫製加工された布地が張られた椅子が多い昨今、立体的に張られた布地を平面、紙などに型をおこしなおし、それをまた布地で立体的に張るのです。 ... 続きを読む
椅子のボタン締め ヒダ取り
椅子のボタン締め ヒダ取り ボタン締め=ヒダ取りは1枚の布地を使用します。 1枚の布地を一つ一つヒダを取ってボタンで締めていくのです。 意外に難しく、でも、慣れてきて回数をこなせば意外に簡単にもなってくるので技能というのは不思議です。 逆にわざわざミシンをかけて、ボタン締め=ヒダ取り風にしてあるほうが慣れてないのか大変だったりします。型さえあえば誰でも張れるようにしてあるのでしょうけどね。 1枚の布地が写真のように綺麗にボタンが締めることが出来るようになると楽しいものです。 ボタンを締める前と、後を同じ角度から写真を撮ってみました。 ... 続きを読む
椅子が出来るまで8 椅子張り
椅子が出来るまで8 椅子張り まだ木枠については補足も出てくると思いますが、ようやく本編の椅子張りです。 椅子張りについて、実は当社会長が近々本を出版します。本と一緒にDVDも作っております。詳しい説明はそちらをご参考いただいた方がよいと思います。 まずどのくらいの工程があるか、箇条書きにしてみていきたいと考えてます。 色々と色んな職人さん達を見てきてますが、椅子張りはやることが多いなぁと感じます。 ... 続きを読む
銀座三越、日本橋三越実演で椅子が完成しました
銀座三越、日本橋三越実演で椅子が完成しました フランスの布地を使用しまして、背と座と全て天然の素材をクッション材として作りました。 天然の素材とは、ウレタンではなく、バラバネ、ヤシファイバー、馬毛、綿、麻の糸、麻の紐とすべて地球に還る材料です。 またすべて手作業なので、道具と手で作り上げてます。 幾重にも針と糸で刺し、形を作り上げていきます。 途中の工程の写真も撮りましたので順次載せて行きます。 写真の仕上がった椅子は中央のアームレスチェアです ... 続きを読む
底張りについて
底張りについて 底張りがどれだけ綺麗に張られているかで、その椅子がどのだけ神経を使って張られているかがわかると記事にいたしました。 今回は底張りの意味について少し。 底張りは薄いものが使用されます。これはけちって薄いわけではないのです。 なぜなら、底張りは空気の通りを良くするために薄めの生地が使用されます。 座ることによって椅子の底から空気が抜け、立ち上がることで椅子に空気が入るのです。 人が住んでいない家って、なんとなくわかることってありませんか。 人が住んでいないことで空気の循環がなくなり、家が傷みます。人が住んでいることで、家が長持ちしているのです。 椅子の場合も同じで、使わない椅子は傷んでいきます。ある程度は使わないと傷んでいってしまうのです。空気の循環、大切ですね ... 続きを読む