牛革 椅子張り
革を使うことが多いのですが、革と合皮の違いについて椅子張り職人の目から考えてみます。
合皮やビニールレザーの場合、同じ品質で均一にほぼ出来上がっているので布と同じように生地巾があり、裁断が容易に出来ます。
一方、牛革の場合、日本では半革で、さらに大きさもまちまちです。
牛の革なので、牛の育った環境によって表面にたくさんの傷があります。
まずはその傷を見つけ出し、傷を出来るだけ避けたり、目立ちにくいところに持っていくように裁断をします。
非常に手間がかかる作業が革の場合にはかかります。
革自体、安いものではないため、失敗・ミスは許されないので慣れないと大変です。
また、革の部位も強度的に強いところと弱いところがありますので、座面には強い部分をとらないとすぐにダメになってしまいます。
ミシンをたくさんかけ、ステッチされた革の椅子と1枚革で張られた椅子とでは1枚革の椅子の方が贅沢であると作る側からは思うのです。
写真は傷に印をつけ、その部分を避けて裁断した革です。